みなさんこんにちは。
中延昭和通りの歯科衛生士です。
今日は歯周病治療の従来の方法とブルーラジカルとの違いについてのお話です。

ブルーラジカルとは?
「ブルーラジカル」は、歯周病の治療に用いられる 最新かつ非外科的な(切らない)治療法 です。
具体的には、3%の過酸化水素水(H₂O₂)を歯周ポケット内に注入し、その後「青色光(405 nm波長)を照射」することで、強い殺菌作用を持つ“ラジカル(活性酸素種)”を発生させ、細菌を除菌します。
さらに、同時に装置が「超音波振動」により歯石・プラーク(歯垢)を物理的に除去する機能も備えています。
この治療法は、重度の歯周病(深い歯周ポケット・骨の吸収が進んだ状態)にも対応できる可能性があるとされ、従来の歯周病治療法(スケーリング・ルートプレーニング・外科手術)に対して新しい選択肢となっています。
ブルーラジカルの
メリット・デメリット
メリット
・切開・縫合を伴わないため、手術に比べて身体的な負担・痛み・腫れが少ない
・青色光+過酸化水素水による「ラジカル殺菌」によって、歯周病原因菌を 約99.99 %まで殺菌可能という報告があります
・超音波振動で歯石やプラークの除去を併用することで、歯周ポケットの深部のケアも可能
・治療時間が比較的短く、患者さんの負担を軽減しやすい
デメリット
・保険適用外(自費診療)である場合が多く、治療価格を確認する必要があります
・この治療だけで“歯周病が完全に治る”とは限らず、日々のブラッシング・定期検診・生活習慣の見直しなど、継続的なメンテナンスが重要です
・重度の歯周病で「骨が大きく溶けている」「歯の動揺が大きい」などのケースでは、外科的処置や抜歯が必要となる可能性もあります
こんな方にオススメ!
・歯ぐきが腫れている・出血がある・歯が揺れるなど、歯周病が進行している可能性がある方
・従来のスケーリング・ルートプレーニングだけでは改善が難しいと言われた方
・「手術(切開・縫合)には抵抗がある」「できるだけ歯を残したい」とお考えの方
・治療後の回復期間や痛み・腫れをできるだけ軽くしたい方
今までの歯周病治療と
ブルーラジカルの違い

従来の歯周病治療では、超音波振動を利用して歯石やプラークを除去する「超音波スケーリング」が中心となってきました。超音波スケーラーによる物理的な清掃は、歯周ポケット内に付着した歯石や細菌の塊を取り除くのに有効ですが、重度の歯周病では限界が生じる場合があります。
深い歯周ポケットや歯根の複雑な形態をもつ部位では、超音波だけではどうしても届かない細菌や歯石が残存し、それが治癒を妨げる大きな要因になってしまうのです。
こうした“取り残し”を抑えるため、従来は抗菌薬を併用するケースもありましたが、抗菌薬には副作用のリスクや長期使用の難しさがあり、すべての患者さんにとって最適とは言えませんでした。そのため、重度の歯周病患者では、従来治療だけでは十分な改善が得られないことも少なくありませんでした。

ブルーラジカルは、こうした従来の課題を解決するために生まれた、超音波振動とラジカル殺菌を融合させた最新の歯周治療技術です。
従来通りの超音波スケーリングによる歯石除去に加え、過酸化水素と405nmの青色光を組み合わせてOHラジカルを発生させ、細菌やバイオフィルムを化学的に強力殺菌します。
このラジカル殺菌は、歯周病や虫歯の原因となる細菌を99.99%という非常に高い精度で不活化できるのが特徴です。
また、深部の歯周ポケット内に潜む細菌に対しても、OHラジカルの強い酸化作用が短時間で効果を発揮し、従来のスケーリングでは届きにくかった領域にも確実にアプローチできます。
ブルーラジカルの安全性
ブルーラジカルの大きな利点は、高い安全性にあります。
使用する過酸化水素は分解される過程でOHラジカルを発生させますが、このラジカルは細菌に選択的に働くため、周囲の歯肉や歯へのダメージがほとんどありません。その結果、副作用のリスクが非常に低く、抗菌薬に頼る必要も大幅に減らすことができます。
重度の歯周病症例でも、従来治療では取り残されがちだった微細な部分まで清潔に保つことができるため、再発のリスクを低減し、治療効果の向上が期待できる点も大きな魅力です。
こうした特徴から、ブルーラジカルは今後、歯周病治療の新たなスタンダードとして広く普及していく可能性をもつ、非常に注目度の高い治療法です。







